ジャン・ルソーの伝統的職人技術: 培った技術をどのようにして維持し、そして後継者に伝えていくか?
by Jacques Bordier
2007年、ジャン・ルソーは栄誉ある「無形文化財企業(EPV認定書)」に認定されている。この無形文化財企業の認定書は、優れた伝統的職人技術の伝承と推進を行う企業に贈られる認定であり、私たちはこの認定書をとても誇りに思っている。実に私たちの伝統的技術は、積み重ねられた日々の仕事であり、会社の理念の基盤でもある。ジャン・ルソーが他のブランドと違う点は、製品は全て自社一貫生産であること。ということは、自分たちの専門的な技術を信じ、様々な手法を考えなければならない。
例えば、私たちが優秀な人材を選ぶ際には、皮革や繊維に特化した職人であろうと、あるいは製品開発に携わる技術者であろうと、とても注意を払っている。また、職業訓練学校とのパートナーシップも大切にしている。在籍する職人の中には、他校で素材の専門知識、ファッションやアートを教えていたこともある。その延長として、ジャン・ルソーでは見習いやインターンも歓迎している。
もし、私たちの伝統的な職人技を一言で言うならば、「自分たちで何でも生みだす」ということは外せません。定期的に優秀なプロフェッショナルとのトレーニングを行い、インターナショナルなレベルに拡大しているため、チーム単位で、新製品、英語のスキルアップ、開発や改善など、さまざまなジャンルの勉強会を開催しています。ジャン・ルソーではまた、チームによる新しいスキルの獲得と開発を拡大するため、社内の相互交流を大切にしています。そうすることで、社員はより多くの技能を身に付け、順応性が高くなり、会社にとってプラスアルファになります。
私たちの仕事を様々な分野の人々に見せることによって、色々な刺激やアイデアを与えられると考えており、それを皆に是非共有したいと思っています。
ジャン・ルソーは、見本市やトランクショーに参加し、職人はクライアントやお客様の目の前で手作業によるデモンストレーションを行います。
最後に、私たちがどのように働いているかを理解してもらうことが重要です。セールスと製作担当の職人のどちらもパリ、ロンドン、ニューヨーク、東京で、アトリエ ジャン・ルソーの店舗を運営しています。職人たちの意見はとても重要で、私たちが何をするべきか、どうするべきか分かっています。特別にオーダーメイドされた商品をお客様にどう提供するかも分かっています。
ジャン・ルソーにとって伝統的な職人技は不可欠であり、会社の発展の鍵となるため、どのアクションも偶然ではありません。もっと個人的なレベルで言うと、私の娘であるアナイスはいつも私のそばにいるので、会社が培ってきた経験を彼女に教えることはとても重要だと思っています。彼女は時計メーカーからラグジュアリーレザーグッズを専門とする会社まで、彼らとジャン・ルソーが関わっている1から10まですべてを見ています。
彼女がこの会社のリーダーとなった今日、娘の後継ぎは会社の為だけでなく、父親である私にとっても大事なことであるとつくづく実感しています。娘の将来のためでなければ、私は今までこんなに頑張らなかっただろうと思います。