『澤屋とメゾン ジャン・ルソーのコラボレーションは、「素材を大切に」という共通の真摯な姿勢を反映しています』
by 西陣織織元 八代目・澤屋重兵衛
澤屋は1776年京都にて創業し、手機織りの世界で有名になりました。以来250年近くにわたり、卓越した品質の着物や帯を作り続けています。澤屋重兵衛は代々受け継がれる織元の8代目です。今回、職人仕事への敬意と素材への細心の気配りを分かち合う澤屋とメゾン ジャン・ルソーが手を組み、傑出した帯と貴重な革を織り交ぜた『艶やか』コレクションを誕生させました。
1.この度の澤屋とメゾン ジャン・ルソーのコラボレーションはどのように実現したのですか。
澤屋の帯裂を使った非呉服部門の新しい商品企画として『時計のベルト』もアイデアのひとつにありました。どのメーカーさんにお願いするか模索中の時に、メゾン ジャン・ルソーのアトリエをお客様より紹介していただきました。アトリエの雰囲気、マニュファクチュールに重きをおくメゾン ジャン・ルソーの企業理念に感銘を受け、初めてなのに昔から知っている様な感覚を覚えました。素材を合わせた瞬間に、直感で良い!(同じ匂いがする!)と感じましたので、ぜひサンプルを作ってください、とお願いしたのが始まりです。
メゾン ジャン・ルソーとのコラボ商品で使う澤屋の帯裂は、帯作品を作る上で発生する余剰部分を使っていますので、その生地に合わせて革製品を選ばせていただいております。
メゾン ジャン・ルソーの豊かな革のレパートリーの中から、同じ風合いを持つぴったりの革を見つけられるのは、いつもとても楽しく夢のような作業です!長い年月の間にたどり着いたメゾン ジャン・ルソーの商品の形は、使う上で申し分のない美しいフォルムですから、後はメゾン ジャン・ルソーの素晴らしい職人の手に任せて、出来上がりを待ちます。
2.澤屋とメゾン ジャン・ルソーが共有する価値観はどのようなものですか。
AIやテクノロジーを介した製品が、簡単に日々生まれる世の中でマニュファクチュールという企業理念、人の手でしか成しえない事にこだわり続けた、先人の職人達の努力、技術、美的感覚を、澤屋は継承し続けていきたいと考えています。メゾン ジャン・ルソーも同じ価値観でものづくりに携わっておられ、大切にされているが故に生まれる素材と高い技術が製品の良さを物語っています。
メゾン ジャン・ルソーの革製品も、澤屋の帯も、古より大切にしてきた、「素材を大切に」という真摯な姿勢に共通項があり、なめらかさ、艶やかさ、使い心地の良さ、存在感など、職人の手仕事だからこそ表現できる、商品の個性に強く溢れています。
物が溢れ、壊れてしまえば、新しいものを消費する事が当たり前の現在において、愛着を持ってひとつのものを、長く使いつづけられる、「本物だけが持つ心地よさ」を追求し、小さな素材を大切に扱うという精神を商品を通じて発見し、体感していただく事ができるのではないかと考えます。
3. 一緒に実現した商品をご説明していただけますか。
古代錦は引き箔という手法で織られる帯で、経糸が4800本、緯糸が箔のみというシンプルな2色使いが特徴の手機織の帯です。色のバリエーションは1000色を超え、柄数は400柄、150年前から同じ手法で作り続けられています。機織はメチエと呼ばれるフランスのジャガード織と同じ構造の機織を使って今も職人が動かし織り続けられています。
長い年月をかけて作り出されるもの、そのノウハウと技術には培われた時間と繋いできた職人の叡智「想い」が沢山詰まっています。
その「想い」をできるだけ現代的に、モダンに軽ろやかに、使い易く、そして美しい、
「用の美」を表現したものが、今回のコラボ商品ではないかと思っています。