"私の天職は、革を手で縫うことから始まった。"
マガジン
12.07.20

"私の天職は、革を手で縫うことから始まった。"

by Yosuke SHIBUYA

シブヤ・ヨースケ氏が、メゾン・ジャン・ルソー日本部門のアトリエに仲間入りしてから10年以上になります。自分の仕事に常に完璧を追求する彼が、時計のストラップや皮革製品のオーダーメイドを実現した最初の職人です。彼はシャイな一面もありますが、インスピレーションが湧くと、自分の仕事に誇りを持ち創作活動に没頭します

Atelier Jean Rousseau Tokyo craftsman portrait

今思い返せば、職人が原材料からオブジェを作り出し、厳密に根気よく組み立てていく能力にいつも魅了されてきました。大工である父が、この今の職業を志望する最初のきっかけとなり、早い段階から手を使う仕事に就きました。最初は工芸品店、その後バッグデザイナーを経て、メゾン・ジャン・ルソーに入社し、製革工程、製品の対称性のバランス、各測定に配慮する必要性など多くのことを学びました。このような様々な経験の機会を与えてくれた全ての職人のお陰で、私は手で一つ一つ革を縫い合わせるという自分の天職を見つけました。

 

たとえ作品の詳細がどんなに些細なことでも、全てを感じ取り、理解しなければなりません。

作品を作り始める時に、素材と皮漉きがとても重要になります。皮漉きは、革を痛めることなく革を薄く加工することで、作品を仕上げる上でとても重要な鍵となる工程です。時計のストラップをしっかり見て頂くと、一見非常にシンプルな製品であることがお分り頂けると思いますが、実際には一つのミスも許されないのです。縫い目、形、バランス、革の性質や丸みなど、これら全ての詳細はお客様がご要望される素晴らしい作品を作るためにとても重要なものです。

ブレスレットをつけた時の着け心地も、とても重要です。ただし、素材の選択は、触り心地に大きく影響してきます。ジュエリー職人の言葉を思い出します。「花や花びらのモチーフを作るには、良く観察し、直に触って、しなやかさやざらつきの質感を感じる必要がある」と彼は言いました。たとえどんなに些細なことでも、全てを感じ取り、理解しなければなりません。作品がブレスレットであれ、財布であれ、小銭入れであれ、私にとって大事なことは、上手に作ることだけでなく、お客様にその作品を持つ喜びを実感して頂くことです。

 

お客様と話すことで、素晴らしいアイデアが生まれることが良くあります。

ジャン・ルソー社のオーダーメイドは、お客様のご要望にとても忠実で、そこから私は多くのことを学びました。日々自分の成長を感じるアトリエでの仕事だけでなく、直接ブティックにいらっしゃるお客様と接することでお客様のニーズや声にお応えすることができます。私は作品を作る際に、将来この作品の所有者となるお客様と話し合う機会をたくさん持つようにしています。そうすることで、一人では絶対に思いつかない素晴らしいアイデアが生まれることが多々あり、それが大きな喜びや誇りとなります。 絶えず革新し続け邁進して行きたいというこの願望は、職人として、そして人間として、私の人生にとって大変価値のあるものだと私は思います。

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